学校ブログ

11月21日【6年学級活動p4c】人はなぜ無駄なことをするのか?

6年生は学級活動でp4c。
最近は多くの学年でバンバンp4cやるようになっていて、平均すると毎日どこかの教室で必ずp4cやってるってくらいの計算になりそうですね。
6年生のこの日の問いは「人はなぜ無駄なことをするのか?」。かー、身につまされますねえ。とりあえず、先に謝っておいちゃおう。どうもすみませんです、はい。

問いを出した子の発言からスタートです。
「もっと効率的なやり方があるのに、非効率的なやり方でやってることがある。どうしてかなと思って」
「ねえ、『無駄』ってどういうこと?」出たー!いきなりクリティカル・シンキング。「そもそも」を問うってのは、深い考えに行きつくためには有効な手段です。さすが6年生!
「無駄って、言わなくていいことを言ったり、近道があるのにわざわざ遠回りしたりってこと」
「どうして近道を行かないことがあるんだろう?」
「近道は楽しくないから?遠回りすると、なんだかわくわくすることも」
「そうだね。遠回りしても、何か発見すれば、無駄にはならない」
「うん。何か発見すればね」
ここで私も発言。「何か発見してさ、それがものすごくくだらないものだったとしても、無駄にはならないの?」
「そうです。いくらくだらない発見だったとしても、発見は発見だから」
「私もそう思う。発見は発見」
「そうだね。私も同じ意見」
「私も。近道してた時には気付かないことを、遠回りしたときに初めて気付くことができたなんて、素敵じゃない」
「その時はくだらないと思ったとしても、あとで調べたら、もしかしたら、ものすごい発見だったかもしれないしね」
「そうだね」
「たとえくだらないと思っても、どんなものでも、自分が発見したのだから素直に喜べばいいんだよ」
「発見するってわくわくだよね。また、この道を通ったら発見できるかもしれないって、毎日またわくわくできる」
「何も見つからないって分かってるよりも、何か見つかったらいいことって思える。発見ってすごいことだと思うよ。そういうのって近道にはない楽しさだよね」
「うん。遠回りしたとしても、楽しさがある。新たなアイディアが生まれるかもよ」
「ぼくもそう思う。発見がなくてもいつもよりもたくさん歩いてるうちに、アイディアが生まれるかもしれない」
「私は遠回りしたらいいことがあるかもしれないと思うし、近道でもいいことあるかもって思う」
「遠回りでも近道でも、何かあるかもって物事をポジティブに捉えることができたらいいよね。近道したとしても、もっと近道があるかもって」
「必ず遠回り、必ず近道って決めておくんじゃなくて、『今日はこの道』って毎日違う道を行ったら面白だろうね」

「道の距離の問題だけじゃなくて、同じものでも、人によって、いいものもしょうもないものも違いがあると思う」
「そう。楽しさがある」
「遠回りの方が近道よりも安全なことが多いと思うよ。近道にはない楽しさがある。それは風景だったり。そう、好奇心!」
「好奇心の赴くままにってことかな。どちらの道を行っても無駄にはならないのかも」
楽しい対話が続きます。きっとこの対話も無駄じゃないはず。

「納豆って変な臭いって思う人いない?私も最初はそうだった。今は大好きだけど。納豆を最初に食べた人ってすごいなあって思う。すごい好奇心。すごくお腹がすいていたのかもしれないけれど」
「食べないで後悔するよりも、食べてまずーいって思う方がいいような」
「食べて見なきゃ、分からない。無駄なことってないのかも。たとえ食べたらまずかったとしても、これは食べちゃダメって一つの知識として蓄積される。どうなったら、どう使ったらいいかってのも一つの新たな知識になる」
「そういうことってある。いや逆にいい発見なんだよ。これは食べちゃダメとか買っちゃダメとかっていう発見は」
「フグって猛毒があるでしょう。でも今は毒さえ食べなければ、残りの部分はすごくおいしいって分かってる。最初はその毒を食べちゃった人もいたと思う。昔の人のそういう苦労が今に繋がってる。無駄を積み重ねていくことが成功になるんだ。・・・人間ってさ、冒険する生き物なんだ!」
おおおおおっと!ものすごい発言。まさに金言・格言ですね。確かサルトルも似たようなこと言ってたような気がする。「人間って冒険する生き物」かあ。私の辞書に書き加えておこうっと。
「似たような話を聞いたことある。日本ではウニって食べられないと昔は思われていた。でも食べたらおいしかった。そういう発見をした。ご飯にお茶漬けっていう定番も失敗しつつも様々に工夫することによって、さらにおいしくなる」
「そうだよ。生きていて無駄なことはない!無駄だと思わないっていう考え方が大事なんだと思うよ。要は考え方!」
あああああ、ありがとう!反省しきりの毎日ですが、この一言で、今夜はおいしい夕食になりそうです!

ところが、ここで発言がピタッと止まっちゃったのです。みんな言い尽くしちゃったのかな?
そこで私が介入。必殺技を炸裂させちゃおう!
「ねえ、誰かさらに深めて」
なんとー!「必殺子どもに対話のかじ取りを委ねる」の術!
すると・・・
「ねえ、好奇心って大事って議論になってるけど、どうしたら好奇心って湧くんだと思う?」
おおおおおおおおおー!これですよ、これ。子どもたちが対話を深めるべく、自分で新たな問いを提示したのです!
「好奇心ってどうしたら湧くかって言うと・・・、面白いもの、わくわくするもの、やってみたいってものを常に探している、あるいはそういうのを感じるアンテナをもち続けることかな?」
す、すごーい。6年生、深める問いにしっかりと対応しますねえ。素晴らしい思考力!
「例えば松の子まつりで私たちは企画したよね。運営する中で、『こうやったら楽しめるかな?』とか、全校が楽しめるように考えたんだけど、そういうことを考えていることが好奇心をもてるようになるんじゃないかな?『これどうかな?試しにやってみよう』って」
「そうそう。ぼくたちの班はボール投げゲームをするんだけど、ただボールを投げるだけじゃ面白くないから、的を作ったり、ボールの代わりにフリスビーにしたりとか、試行錯誤をした。こういう工夫をするってことが大事なんだと思う」

あああああー!具体的な事象を抽象化し、さらにそれらについて対話するなんて!お、恐るべし6年生!

以上、圧巻のp4c!6年生、さすが!素晴らしいの一言に尽きます。

今回の対話では、いくつの発言の中に「具体と抽象を往還させる」ような発言が見られました。これまでの彼らのp4cには、対話中に純粋に疑問に思ったことを全体に問いという形で示すことはあっても、対話を深めようという明確な意思のもと発せられた発言はあまり見られませんでした。さらに「好奇心」に関する一連のやり取りはこれまでの対話を一般化しする姿も見られました。このように考えを抽象と具体で往還させることは深い学びにつながると考えています。6年生がこれを意図的に行ったのですね。これは驚異の世界です!いやー、びっくり。前のp4cで、対話を深めようと考えながら発言することが大事と結論付けた6年生ですが、今回早速その意図のもと対話が行われているのです。はー、今夜はぐっすり眠れそうです!(ねえ、これらの発言をした君たち!『抽象と具体を往還させることが学びにつながる』って知ってたの?知らなかったのにこの発言できたんだとしたらホントびっくり。今度サインください!ははははは)

おかげで今夜はいい夢見られそうです。ありがとう6年生!翌日の松の子まつり、すんごく楽しみにしていまーす!