1月9日【2年国語】詩の読解の面白さ
2年生は国語で詩の学習。おおくぼていこさんの『ねこのこ』という詩です。
ねこのこ
おおくぼていこ
あくび ゆうゆう
あまえて ごろごろ
たまご ころころ
けいと もしゃもしゃ
かくれても ちりん
しかられて しゅん
よばれて つん
ミルクで にゃん
一読した後、2年生に「この詩、意味分かる?」と尋ねると、「分かりませ~ん」という声が聞こえます。教室中に大きな「?マーク」が浮かんでいるのが目に見えるようです。
ここで担任が尋ねます。「『あくび ゆうゆう』ってどういう意味?」。
子どもたちは「眠くてあくびしている様子」など、イマイチな反応。
動作化を促しても、やっぱりよく分からないようです。
続いて担任は「『あまえて ごろごろ』は?」と訊くと、子どもは「人が怠けているみたいにごろごろしてる様子」「飼い主に甘えて、背中を床に付けながら体を右や左に動かしている様子」などこちらも詩の意味を十分に捉えているとは言えない反応。
さあ、この状況をどう打開するか!?
そこで、教師は「『たまご ころころ』はどういうこと?卵が自分でころころ転がるってこと?それとも猫が転がしているの?」と尋ねました。
子どもたちの意見は2つに分かれました。大多数は猫が転がしていると考えている様子。
「だってさあ、卵は自分では転がらないよ」と言うので、「じゃあ、この文は『猫が』卵を転がしているってことね?じゃあ、さっきの『あくび ゆうゆう』は誰があくびしているの?」と訊くと「猫があくびしているの」と満場一致の答え。
子どもたちは、どうやら各文の頭には『猫が』という主語が省略されていることに気付き始めたようです。
ここで、私がこの詩で最も難解と思う個所に突入します。
「『けいと もしゃもしゃ』ってどういう意味?」
すると一部の子は「毛糸がもじゃもじゃしているんだよ」とは答えたものの、大部分の子どもたちは「猫が毛糸で遊んでもしゃもしゃにしちゃった」と答えました。これらの答えを聞いて、丸い毛糸玉の触感がもしゃもしゃだと考えていた子たちも考えを改めたようです。
話し合いをしているうちに、全ての文の冒頭に書かれるべき主語(この場合は「猫が」)が省略されていて、各文の前半は猫の動作、後半は猫の動作の形容動詞であることに気付き、一気に読解が進んだのです。
これらすべての文の主語は隠されていたものの、実は「猫」に統一されていることが分かった時、何人かのお子さんが、「ああー、そうかあ」と腑に落ちた様子が見られました。
教室に浮かんでいたいくつもの?マークの風船がしぼんでいったのです。
子どもにとって、これは素敵な経験として長く記憶に残ることでしょう。
実は、この話し合いの冒頭から「これは子猫の話だから」と詩の内容を理解して発言した子がいて、他のお子さんでプリントに主語の猫をも含めて視写していた子もいて、それらのお子さんは多くを語りませんでしたが、今後は別の教材になったときに、学級全体の読解力の向上に資するために、このお子さんのように一人だけの気付きを他の子どもたちに如何に広げるかがこの学級の課題となるでしょうね。
詩の読解の面白さを感じた子どもたちが多かったのではないかしら。