この前の週にウサギにたっぷりと触れた1年生。
で、うさちゃんは金曜日の夜に大石小動物園様にお返ししたのです。金曜日には1年生はお別れパーティをやっちゃったりしてね。
そして、この日の3限は、自分たちの活動の振り返りをp4cで。
結論から言うと、「君たち、ホントに1年生?」と言いたくなるほど、素晴らしいp4cだったのですよ。
「ウサギのお世話してみて、どうでしたか?」という問いからスタート。
では、早速見ていきましょう。
「ウサギを抱っこする時には後ろ足をしっかりと持たなくてはならないことが分かりました」
「あと、ウサギを落とさないことね」
「撫でると耳が温かいことに気付きました」
「走ると早いことが分かりました」
「後ろ足が強いんだよね」
「そう。だからなかなか捕まえられなかったよ」
「あとね、うんこが小さくて硬いの」
「にんじんはオレンジのところも食べるけど、緑の草のところをよく食べてたよ」
「世話する時には、うんことエサを間違わないように気を付けて掃除したよ」
「立つときには、後ろ足で立つ。だから前足はブランとさせてた」
「ウサギはペットシーツをよく噛んでた」
「抱っこしたら、ふわふわで可愛かったな」
「ウサギは暗いところにばかりいたよ。暗いところが好きなんだって思った」
「そうだね。ウサギの家を作ったら、ずっとそこにいてばかりだったからね」
「うん。暗いところが好きなんじゃないの?」
教師「みんなはウサギの世話をしてどんな気持ちになった?」
「楽しかったよ」
「遊び場を作るのが楽しかった。隠れられる場所も作ったし、面白かったな」
「遊び場とかたくさん作ったよね。遊び場にウサギが入ってくれて嬉しかった」
「掃除するとき、うんこは臭かったけど、きれいにできてよかった。でもいっぱい掃除しなくちゃならないから大変だった」
「そうだけど、でもウサギが喜んでくれたから嬉しかったよ」
「私は生き物を育てるのって、こんなに大変なんだってことが分かった」
教師「どんなところから、ウサギが喜んでるって分かったの?」
「掃除したらケージの中がきれいになったでしょう。だから、ウサギは喜んでたと思う」
「みんなで協力して、お世話して、掃除して、きれいになった。ウサギも自分も嬉しかったよ」
教師「ウサギが喜ぶと、どうして嬉しくなったの?」
「う~ん・・・。生き物が育つからだよ」
「きれいな住処になって、ウサギが嬉しそうだったから、自分も嬉しくなったんだ」
教師「ウサギは築地小学校にいた一週間、楽しかったと思う?」
「楽しかったと思うよ。だって、撫でたら懐いたから」
「うん。抱っこして撫でたら、落ち着いた」
「最初はウサギも緊張してた。みんなで追いかけたりしちゃったしね。怖かったと思う」
「そうだね。ウサギが嫌なことを無理やりしなければ安心できたと思う」
教師「みんな掃除したりしてウサギも喜んだんでしょう。でさ、ウサギは暗いところが好きなのなら、もしきれいに掃除したお陰でウサギが隠れる場所からずっと出てこなくなっちゃったら、それでもいいの?そういう時、どうしたらいいんだろうね」
「私たち、ケージに屋根がなかったから付けたでしょう。周りも暗くしたら、もっとよかったんじゃない?」
「ウサギは明るいところにもたまに出てくるよ」
「うん。暗いところにずっといたら迷子みたいになっちゃう。暗くはならないかもしれないけど、ウサギが入れる箱を用意したらどう?」
「あとね、高い声で『ふー、ふー』って言ったら喜ぶかなと思ったんだけど、手も振ったら却って嫌だったみたい」
「ウサギってね、目を合わせると緊張しちゃうみたいだよ」
「そうか。目を合わせないようにしてたら、明るいところにもっと出てくるんじゃないかな」
「うちのハムスターも暗いところが好きだよ。チンチラはどうだったかな?動物によって好きなところは違うみたい」
教師「さっきの質問なんだけど、掃除したら暗い場所をウサギが気に入っちゃって、そこから出てこなくなっちゃったら?それでもいい?」
「ウサギがいいんだったらいいよ。ぼくは」
しかし、挙手してもらうと、ウサギが喜んで暗いところにずっといたらやっぱり嫌だなという子が圧倒的多数に上りました。
ウサギがいいならいいとする子はわずか2人です。
「ウサギのためにやってるんだから、ウサギが喜べばそれでいい」
「そうだね。ウサギを無理やり捕まえようとしたけど、嫌だったみたいだから、それもよくなかったかも」
と、ここで3限はタイムアップ!しかし、子どもたちはやる気満々です。
なんと4限目も続けてやることになりました。
4限。前時の続きです。
「ずっと暗いところばかりにいたわけじゃない。でも暗いところにいた方が多かったかな?」
「ウサギも明るいところにも行きたかったったんだと思うよ。でも私たちがいたから怖かったのかも・・・」
「そうかも。じゃあ、みんなで静かにしたらよかったのかな?」
「ああ、ウサギも人もうるさいと嫌なんだね。追いかけられるのも」
「そうだね。そっとしておいてあげるのがいいのかも」
「うん。みんなで取り囲んじゃってると、ウサギはどこを向いても目が合っちゃうし」
「みんなじゃなくて、少しの人だけでやったらよかったのかも」
「無理やり抱っこしないで、一人ずつとかね」
「近づかなくてもいい。追いかけたりしない」
「ケージを明るくしたらいいと思う。教室や廊下を走り回ったりできるようにもしてやりたい」
「ベランダも自由に」
「あーあ。もっと考えてあげればよかった。抱っこのこととか」
「もっと優しくすればよかった」
「ウサギだっていやだと思う気持ちも嬉しいって思う気持ちも持っている。ブランコに乗せたり、もっとたくさんエサをあげたりすればよかったね」
教師「どう、みんな?ウサギを飼えてもう満足?」
「もっと工夫してお世話したらよかった」
教師「じゃあ、どうする?」
「もうさ、僕の心の中にはウサギがいるんだよ。『もう一度飼わせてください』って、角田さんにお願いしたい!」
圧倒的多数の子どもたちが、大石小動物園様にお願いしてまた飼わせてくださいっておねがいしたいと考えていることが分かりました。
でも・・・、一人のお子さん(Aさん)だけが「ぼく掃除が大変だから、もう飼わなくていいや」との意見。
こういう意見も素直に吐露できるってのが、セーフティが構築されている証なのでしょうね。
別のお子さん「Aさんが掃除は大変だからしたくないっていう気持ちは分かるけど・・・。Aさんは抱っこしたい?」
Aさん「抱っこはしたいけど、掃除がなあ。大変なんだもの」
「じゃあ、みんなが掃除をするけど、掃除の順番はAさんを少なくしたらどうかな?」
Aさん「それなら、僕も飼いたい」
ということで、再び大石小動物園様にウサギを貸してもらえるように、子どもたちがお願いすることになりました。
素晴らしい対話(p4c)。
どこがそれほど素晴らしいのでしょうか。
端的に言えば以下のとおりになるでしょう。
① 体験を、実践的な知恵・判断力へと変えている
② 自分中心から他者中心へと視点が移っている
③ 自分たちの善意を問い直している
④ 異なる意見を、集団の意思決定につなげている
加えて、この対話(p4c)の素晴らしさは1年生が高度な意見を述べたことだけにあるのではありません。
子どもたちは、ウサギを飼うことを通じて、楽しさも、大変さも、かわいさも、後悔も経験しました。
そして、その経験を持ち寄り、対話を通じて、自分たちの行為を問い直しました。
教師が「命を大切にしましょう」「動物に優しくしましょう」と教えたからではなく、自分たちが実際に関わったウサギとの関係を、子どもたち自身が考え直したのです。本当に素晴らしい。
さらに、Aさんの参加をめぐる話し合いでは、動物との関係だけでなく、人と人との関係も問い直されています。
ウサギのために何ができるか。仲間が無理なく参加するにはどうすればよいか。自分たちの願いを、どうすればよりよい形で実現できるか。
これは、子どもたちが自分たちの共同体をつくっていく学びでもあります。
恐るべし、1年生!