5月13日【1年道徳p4c】笑顔も言葉

シリーズ「はじめてのp4c」もいよいよ大詰め。というか最終回!この1年生を最後に全学年がp4cを体験したことになります。
しかーし!入学したばかりの、ついこの前まで保育園児だった1年生に対話なんてできるのでしょうか!?
結論から言えば、できちゃったんですなあ、これが。それも立派に、素晴らしいp4cが!
今回は、道徳の教科書の1・2ページ目の詩をもとに対話しました。
こんな詩です。

  えがおも、ことばだよ。

 わらっているこは、うれしそう。
 ないているこは、かなしそう。
 おこっているこは、くるしそう。
 
 かおをみていると、ともだちのことが なんとなくわかる。
 しゃべっていないのに、なにかいっている。
 
 おなじように、じぶんのかおも、だれかにきもちを、つたえているのかも。

 えがおもことばだ。
 わらいかけると、すきがつたわる。
 わらいかけると、もっとなかよくなれる。

 ともだちをおもう、ちから。

さて、いつものように問いは子どもたちが設定します。
1年生が設定した問いは「なんでしゃべっていないのに、しゃべっていると同じように伝わるの?」です。この詩の本質をついていますね、すごい。
もう、設定された問いから素晴らしいですもの、期待できそうです!

さて、対話。
初めてのp4cなのに、子どもたちは発言意欲旺盛です。
主な対話の様子を見ていきましょう。

「私、なんで顔で分かるのかなあっていうと、目つきが鋭いときには怒っているなあって分かるし、泣いているときには悲しんでいるなあって分かるし、笑っているときには学んでいるんだなあって分かるよ」
おおー!いきなりすごい意見が出ました!そして、案の定、ほかの子たちが反応しました。
「え、学んでいる?あ、学んでいるって、勉強とかして上手になって嬉しいってことなの?」
「うん、そうだよ」
かー!恐るべし、1年生!!こんな発言が冒頭から出されるなんて!
しかし、対話は始まったばかり。まだまだ続きますよー。

「ぼく、思ったんだけど、泣いてる子に「泣かないで」って言っても泣き止んでくれないときがある。どうしてなんだろう?」
おー、新たな視点が出されました。なんと、もう子どもたちが対話を進めているんですね。
「ぼくはね、友だちの顔見ると、どんなこと考えているのか、みんな分かるよ」
「へえ、すごい。どういうふうに?紹介してみて」
「泣いている子とか、悲しい顔している子には、優しくしたらいいかなあって思うの」
「なんで友だちがしゃべっていないのに、友だちが話したいことが分かるんだろう。みんなの気持ちが分かる」
「友だちとなら顔だけでも分かるし、顔見て気持ちが分かれば、もっと友だちになれて、仲良くなって、もっと楽しくなるんだよ」
「そう。気持ちによって顔が違うから、どんな感じなのか分かる。怒っている表情のときは怒っているんだし、泣いているとき、涙が流れていれば悲しいんだよ。げらげら笑っていれば楽しいんだな、おかしいんだなって」
「うん。すごく怒っているときは、もしかしたら死にたいって思っているのかも。そんなとき、私は何か言おうと思うんだけれど、相手はずっと話し続けているし、言うスキがないっていうか話せない。『いったん話を止めて』って言えばいいのかな?」
「さっき、〇〇さんが言ってたことなんだけど、・・・・・あれ、なんだっけ、忘れちゃった」
1年生はこの発言の続きが聞きたいと見えて、じっとこのお子さんを見つめています。
「あ、そうそう。なんでしゃべっていないのに、顔を見ていれば分かるのかというと、そんなときは・・・、う~ん。でも相手が怒っているときには、傷ついているんじゃないかなって思うよ」

と、ここでタイムアップ!
約20分間、ノンストップの対話でした。
時間があれば、もっと子どもたちだけの対話は続いたでしょうし、もっと深いところまで行けたのではないかと思える素晴らしい対話でした。
これが小学校入門期の子どもたちなんですものねえ、びっくり!
頭の中のモヤモヤしたものを臆せずに言語化しようと奮闘するその姿に感激しました。
そして、そんな友だちを、1年生は固唾を飲んで見つめているんだもの。
「セーフティ(心理的安全性)」と「ワンダー(知的好奇心)」溢れるこの時間。

それにしても、子どもたちの発言の端々に光る圧倒的な優しさ!なんという美しさでしょう。心洗われるようです。今夜は風呂に入らなくてもよさそうです、ははははは。
いいもの見せてもらいました。お見事、1年生。