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3月5日【5年総合的な学習の時間p4c】松枯れを食い止めるために、私たちにできることはないか?

この前の週に、地域の方から地域が抱える問題についてご教示いただいた5年生。地域が抱える問題とは、ずばり「松枯れ」です。地域の方と担任が相談を重ねて、私もちょびっと加わって、この日の地域の方を交えたp4cが実現しました。

地域課題に子どもたちが気付き、地域の方と一緒に課題解決を図る。まさに当校の学校運営の2本柱「p4c(対話)」と「地域連携」を組み合わせた学習活動。この2本の柱が一つになった時に、その教育効果は相乗的に大きくなるだろうという期待と、地域の方の多大なるご協力によってこの日の対話の実現に至ったのです。

対話の前には地域のAさんから築地地域内の松枯れ問題に関してご講話をいただきました。昨年度に比べて、今年度は松枯れの量は10倍にもなっているとのこと。築地小学校のシンボルの一つである松も例外ではありません。すでに枯れている松が何本もあることも分かりました。

これを踏まえてp4cです。問いは子どもたちから出された「松の被害を食い止めるには?」。
では対話の様子を見ていきましょう。


「松が枯れてなくなっていったら悲しいよ」
「募金したり、植樹をしたらいいんじゃないかな?」
「消毒するのもいいんじゃない?」
「それでもお金がかかるよね。国や市からお金を出してもらえたらいいと思う」
「時々、ヘリコプターで薬を蒔いているね」
「ああ、防空控除ね」
「朝5時くらいからやってくれてるみたい」
「でも、あれはもう枯れてる松を蘇らせることはできないんだよね」
「なんで防空控除してるのに、松枯れは止まらないんだろう?」
「ヘリコプターから蒔かれた薬が届かない松があるのかな?」


「前に写真を見たけど、地域の企業の松は枯れていないけど、道路を挟んで向かい側の松はかなり枯れている。この違いは何だろう?」
教師「そうだよね。不思議だね。これは地域のAさんに訊いてみよう」
Aさん「地域の企業の敷地内の松は青々としているけど、それは予防注射をしているからなんだ。だから松枯れが広がらない。でもね、予防注射の薬って高いんだよ。一本4,000円から5,000円くらいはしちゃう」
一同「がーん!」
「どうしよう」


教師「君たちも前に見た写真(松が枯れ壊滅的な被害を被っている場所の松林の写真)なんだけど、何か気付くことない?」
「ああ、枯れた松にはピンクのテープが巻いてある。あれなんだろう?」
教師「これもAさんに訊いてみよう」
Aさん「これは森林組合とかがこの後切っちゃう松の目印なんだよ。被害がこれ以上広がらないように、枯れた松はすぐに切った方がいい」
「じゃあ、切った後の松はどうする?再利用とかできないのかな?」
「うん。文房具にするとか」
「木炭にするのは?」
「ああいいね。その木炭でバーベキューとかできそう」
Aさん「実際に木炭にしてバーベキューに使えるようにしているところもあるんだよ」
「額縁にするのもいいと思う」


「枯れた松があったところはどうする?」
「切った後は更地になるよね。公園にするとか」
「また植樹するのがいいよ」
「でもさ、せっかく植樹してもまた枯れちゃわない?」
「そうだなあ」
Aさん「松枯れに強い『にいがた千年松』っていう種類の松がある」
教師「Aさん、その苗、一本いくらなんですか?」
Aさん「一本315円くらいだよ」
一同、どよめき。
この後、子どもたちは植樹しよう。とりあえず、グラウンド脇の松林の中で枯れている松を切って、その後に植樹しよう」と話は決まりました。

地域課題を地域の方と一緒に対して解決するという一連の教育活動。素晴らしいと思います。
お忙しいところお出でくださったAさん。Aさんなくしては実現しえなかった教育活動です。本当にありがとうございました。お陰で5年生、いい勉強させていただきました。
実際に植樹するのは春になってからかな。行政や森林組合と交渉して、まずは苗を調達しないとね。