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10月16日【1年道徳探求の対話(p4c)】どうすればいいの?

1年生は探求の対話(p4c)で考えを深めます。道徳「どうしたらいいの?」という題材ですが、日常生活にもかなりの頻度で起きそうな出来事を扱っています。

ゆみこが、けいこと昼休みに一緒にブランコをすることを約束します。ところが、ともこが、けいこを「昼休み一緒に読み聞かせに行こう」と誘います。けいこは「いいよ」と承諾してしまいます。(子どもたちは「あー、やっちゃった」と反応。そりゃそうですよね。「もう、けいこったら!」って感じでしょうか。うふふ)

問いは「どうしたらいいの?」です。

では、対話に行ってみましょう。

「けいこは、最初にゆみこに誘われたのに、ともこの方に行っちゃって残念」

「そう。ゆみこと一緒遊ばないなんて残念」

子どもたちはともこの行動にも、ゆみこの行動にも「残念」としています。

担任「この3人の中で一番かわいそうなのは誰?」

「ゆみこ!」子どもたちは一斉に答えます。

担任「原因は?」

「これはともこが悪い。ゆみこが先に誘っていたを見たかもしれない。それを知っていながら、後から誘うなんて、よくない」

「そうならゆみこと遊ばせないで、けいこをとっちゃったことになる」

「でも知らなかったかもしれないよ」

「そうだね」

「だからともこはいい」

「ゆみこは約束をしていたのに・・・」

担任はいよいよ本題に切り込みます。

「ねえ、みんね。みんなもこんな経験ない?」

「私はないです」

「ぼくはたまにある」

ここまでの課題意識の持たせ方、焦点化の仕方は実に素晴らしいです。担任に拍手。

また、自分の経験を語らせようとする働き掛けもすばらしい。これは「自我関与」といって、対話を机上の空論に終わらせず、自分事として考えさせることで、道徳的実践力の向上につなげるものです。

「私はあります。3人で遊ぶ約束していたんだけど、相手が『ごめんね、別の子と遊ぶことになった』って、一緒に遊べなかったの」(このお子さん、目に涙を浮かべながら話しました。つらかったんだね。気持ち分かるよ」

「ぼくは友だちとサッカーする約束してたんだけど、ブランコしちゃったことある」

今度はすっぽかしちゃった経験が語られました。

担任「あなたは一人ぼっちにはならなかったんだよね。どんな気持ち?」

「うん。自分が約束を果たせなかったことに気付いた時は、相手に悪かったなあって思った」

担任「あなたは言いにくいことをよく正直に言えましたね。強いね」

「ぼくも似てて、体育館で遊ぼうって約束してたんだけど、別の遊びをしちゃった」

「私は、遊ぼうって誘ってたんだけど、別のこと遊ばれちゃって悲しかった・・・」

担任「1年生にはたくさんの『ゆみこさん』がいたんだね。どうすればよかったの?」

道徳で観念論で終わらせず、より実践的に具体的な方法をみんなで考えることは、非常に重要なことであると思います。さあ、1年生はこの後、どんな対話に繋げるのか!?

担任「約束してた子に、『私は〇〇さんとあそ遊ぶよ』って言えばいいの?」

子どもたち「だめー!」

「その日はゆみこさんと遊んで、翌日にともこさんと読み聞かせに行けばいいと思うよ」

「でも読み聞かせは2日連続ではしないよ」

「別の読み聞かせの日に行くってこと」

「けいこが、ともこに『ブランコ3人でやる?』って言う」

「けいこはゆみこと最初に約束してたんだから、その約束は守って、けいこに『3人でブランコやらない?』って言えばいい。ブランコは3人でもできるし」

「私は、3人でブランコをやってから、読み聞かせに行くのがいいと思う」

「それはいいかもしれないけど、ブランコしてる間に読み聞かせ終わっちゃうかもよ」

「じゃあさ、先に読み聞かせの方に行けばいい」

「3人で一緒にするのがいいよね」

「そうだね。でも読み聞かせの方に先に行ったら、読み聞かせだけで時間が終わっちゃうかもしれないよ」

「ブランコに一緒に乗って、ぐるんと回って下りたら、読み聞かせに行くのは?」

担任「みんなは3人ともが楽しく遊べる方法を考えていてとってもいいと思うよ。でも3人じゃなくて遊ぶ方法ってある?」

「3人でブランコ1回だけやって、その後読み聞かせに行ったら?」

「ブランコ1回やったら、もっとやりたくなっちゃうよ」

「じゃあ、30回とか20回漕いで交代にして、待ってる間読み聞かせに行くのは?」

おー!これはウルトラCですね。

「2人ずつで遊ぶ方法は?2人ずつで順番に遊ぶの」

「みんなさ、自分がゆみこだとしたら、2人か3人がいいの?一人ぼっちになるのは?」

子どもたち「やだー!」

「3人がいいな」

「私も3人にしてほしい」

担任「みんないいこと言ってるね。それ、みんなできます?」

おおおおおー!出たー!口ではいいこと言うけど、実態が伴わないのを打破する担任の一言!

担任「みんなは、ともこに誘われた時、ゆみこに3人でやろうって言える?」

子どもたちはう~んと考えながらも「できます」と答えます。

担任「ねえ、みなさん、ひとりぼっちのゆみこさん、作ってませんか?」

担任はぐいぐい子どもたちのうわべの発言に切り込んでいきます。そして、おもむろに1年生が考えた「いじめゼロ標語」を黒板に貼り出しました。

こどもたち「ああー」

担任「これできる?」

子どもたち「う~ん」

「いや、大丈夫!!」

「忘れてる人もいるよ」

ここで担任の名演技で、実際にあった出来事を再現します。

子どもたちは「ああ、自分たちやっちゃってたなー」って顔してます。

担任「これって学校じゃなくて、なかよしクラブや放課後わくわくスクールでなら、一人ぼっちの子を作ってもいいのね?」

子どもたち「だめー!」

担任「大丈夫ですか?本当に?」

「大丈夫です!」

対話の後は振り返りタイム。自分自身の考えの変化やこれからの思い等を言語化して文章に書きます。みんなどんなこと書いたのかな?

こんなことを書いていたお子さんがいました。大変立派ですね。素晴らしいと思います。

「わたしは、1かいあったことがありました。わたしが、わるかったとおもいました」

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