10月4日【5年国語p4c】君たちは銀河の星
5年生の国語の教科書(下)『銀河』の冒頭には、ある詩が掲載されています。作者は羽曽部忠さん。『銀河』というタイトルで、教科書と同じ名前なのです。
ここに、編集者あるいは作者の意図が表れているのだと思われます。
夜空に浮かぶ星の帯「銀河」は、日本では「天の川」と言われ、また別の地域では「乳の道」(ミルキー・ウエイ)と言ったりもします。作者の羽曽部さんは「どっちもいい名前だなあ」と書いてこの詩を締めくくっています。
子どもたちの問いの中から選ばれたのは、「なぜ同じものに2つの名前を付けたのか?」です。
では、対話の様子を見ていきましょう。
「同じものなら、名前を1つ付ければ十分、それでしっかり伝わると思うけど、どうして別の呼び名を付けたのかなあと思って」
「私もそう思います。名前は1つで十分」
「う~ん。いくつも付けたのは、いろいろな呼び方がある方が、言いやすい方を選べるからじゃないの?」
「そうだね。私もそっちの方が言いやすいと思う」
「それぞれの地方によって特色とか違いがある。だから地方によって呼びやすさは違う」
「うん、そう。天の川だけじゃなくて、同じものを見ても、地域や人によって感じ方は違うと思うよ」
* * * * *
ここで、あるお子さんがものすごいものをぶち込んできました!
「みんなにとって、『問い』って何ですか?」
う、うわー!こ、これはものすごい問いですね。これだけで2~3時間は十分行けそう。
「私は、考えても分からないことを問いにしてるよ」
「そうだなあ。私は、『なんでだろう?』って思うことを問いにする」・・・
この問いはすご過ぎるので、私が話を強引に戻してしまいました。ごめんなさいね。
* * * * *
(教師)「ねえ、みんなだったら、「天の川」は「銀河」って呼ぶのと、「乳の道」って呼ぶの、どちらの方がいい?」
挙手してもらうと、ほぼ全員が「銀河」。
この日、ファシリテーターの私はそろそろ終了時刻が気になってまいりました。
(私の心の声「わわわわわっ!もうこんな時間!?」)
(教師)「どうして『銀河』の方がいいの?」
「私は、『銀河』の方が、呼びやすくてしっくりくるからです」
「なんかさあ、きれいな感じがするよね」
「うん。私も『銀河』ってきれいな感じがする」
ここで、「THE 国語のp4c」って感じの発言が飛び出しました。
「教科書の1ページ、2~3行目に『星たちが、ぶつかり合い、重なり合い』ってあるでしょう。それがさ、なんか、キラキラっていうか、ピカピカっていうか、そんな感じがする」
国語学習でのp4cは、やっぱり常に教科書の叙述に立ち返ることが求められます。教科書の〇ページの〇行目と叙述を根拠に発言をしたこのお子さん、素晴らしいですね。
「『天の川』ってずっと終わりがないでしょう。どこまでも続くって感じで。『銀河』は宇宙だから終わりがないけど、『乳の道』はなんか、すぐ行き止まりって感じがする」
「あ、そうそう。『銀河』は終わりがないよね。ずっと続いている。なんかすごい感じ」
「この詩のタイトルは『銀河』でしょう。教科書会社の人たちは私たちに思いを託してるって言うか・・・。銀河って終わりがないから、それと同じように、ずっと覚え続けていてほしい、勉強したことをってことなんじゃないの?」
「ああ、なるほど。勉強もしたことを忘れないでってことか。銀河の星たちのように輝きながら進んでいってほしいってことかも」
「私も『銀河』の方がいいと思うんだけど、銀河ってたくさんの星の集まりでしょう。みんないろいろなことに立ち向かってさ、協力してがんばろうって訴えてるんだよ、きっと」
「うん。この先、難しいこともあるだろうけど、みんなで協力してがんばって。私たち一人一人は、様々な色の星たちのように個性が光っているよって」
(私の心の声「あああああ。終了時刻だあ。とほほ。このまま続けたらもっといいところに行けたんだろうになあ。でもまあ、お腹もすいてきたし、給食に行くことにするかあ」)
「はい、みんな。これでp4cはおしまいです。給食の支度に行ってね。はい、急いで急いで、パンパンパン👏」
以上、30分弱の対話。とっても時間が足りませんでした。
でも対話の終盤になって、徐々にこの詩の本質に近づいていけたのだと思います。
もう、20分間あったらなあ。残念。でも子どもたちのセンスの良さが垣間見られた対話となりました。
もう一回やりたいなあ、君たちと、この詩で。