1年生はp4cで2学期以降のめあてを決めるべく、対話で互いの考えを深め合いました。
問いは「どんな言葉をかけられたら嬉しい?どんなことしてもらったら嬉しい?」です。
1年生はp4cの回数はまだそれほど多くはありませんが、これまで相当に(楽しく)鍛えられていますから、対話のポテンシャルは相当高いものがあると思われます。
では、対話の様子を見ていきましょう。


担任「みんなはさ、どんなことを言ってもらったら嬉しいですか?」
「ええとね、ニコニコしながら言ってもらえると嬉しいな」
「お友だちに恥ずかしいこと言われると嫌になっちゃうと思う。恥ずかしい気持ちにさせないことが大事」
担任「恥ずかしいってどういうことなの?」
「例えば、嫌なこと言われたりすると、恥ずかしくなっちゃって嫌になっちゃうんだ」
「私はね、優しい声で言ってもらえると嬉しいな」


ここから本題により焦点付けるべく、担任が介入します。
担任「優しい声でどんなことを言ってもらいたいの?」
「いいことを言ってほしい」
担任「そうだよね。で、いいことってどんなこと?」
「遊びに誘うこと」
「ああ、一緒に遊ぼうっていうことだよね」
「あとね、手伝ってほしいってこと」
「ブランコ代わってほしいっていうのもいいんじゃない?自分だけが乗ってるのはよくないから、みんなで交代に乗ろうって言うみたいに」


教師「さっきさ、『手伝ってほしい』っていう意見があったよね。それは『自分一人じゃできないから手伝って!』って言うって方なの?それとも『手伝ってください』って頼まれるって方なの?」
「私は手伝ってほしいって言われると嬉しいな」
教師「それはどうして?」
「だってさ、手伝うといいことをしてるって思えるからだよ」
「そうそう。手伝ってもらえるとうまく物事が進むから、相手も嬉しいと思うよ」


だんだんと対話の方向性が見えてきました!
教師「助けてあげるのは嬉しいの?」
「ううん、ちがう」
「う~ん、ぼくは助けてあげるのは嬉しいな」
「どうして?」
「だって、お礼を言ってもらえるもの」


ここで子どもからすごい発言が飛び出しました。ほんとびっくり!私その場で「おおおおおっ」って叫んじゃいましたからね。それは・・・
「手伝うと、自分にいいことが返ってくるんだよ!」
このキラー発言で、この日の対話の方向ははっきりしました!ありがとう!
担任「いいことが返ってくるって何が返ってくるの?お金?」
「 『ありがとう』って言われると、いい気持ちになるんだ」
「それに、この次自分が困った時に助けてもらえると思うよ」
「それに、手伝うと友だちが笑顔になるよね」
「うん。友だちの笑顔が見られる」
キラー発言連発です!これまで彼らが培ってきた人を信頼するっていう人間関係がこれらの言葉一つ一つに表れている感じがします。
「人を手伝うと、先生から褒めてもらえるのも嬉しい」


ここで彼らの発言が観念的になり過ぎないように、自分が実際に経験したことを語ってもらいます。「自我関与」を促したって言えばいいのかしら。
教師「実際に、人のために何かやって、嬉しくなったことある?」
「ええとね、ぼく転んだ時に誰かに大丈夫って言われて嬉しかったことがある」
「たし算の勉強を頑張っていたら『すごいね』って言われてよがんばっててよかったって思ったよ」
「サッカーでゴールを決めたら、」「ナイス!』って言われて余計嬉しくなった」
「勉強見てもらってる時に、できたら『すごいね』って言われて嬉しかったよ」
「雲梯で最後まで行けた時にすごいねって言われたよ」。きっと見てて「すごいね」って言った人も嬉しかったことでしょうね。
他にも一緒にやろうって言われて嬉しかったなど、子どもの良好な人間関係の中で互いを認め合い、協働的な活動に誘われた時に嬉しいと1年生は感じていたようです。
物をもらえたから嬉しいというのではなく、相手が自分のことを気遣ってくれる、自分のことを分かってくれているということが、1年生の発言の端々に表れていたと思います。
この対話を経て、ますますいい友だち関係、いい学級になるんじゃないかしら。
やはりポテンシャルは高いと思っていた私の目に狂いはなかったようです。えっへん。なーはははははー。
それにしても、これ、入学して半年にもみたない子どもたちの対話なんですからね。おそるべし!
最後は対話で自分が考えたこと、思ったことなど振り返りもばっちり。
