学校ブログ
9月17日【3年学級活動p4c】挨拶は気持ちが大事
さあ、3年生のp4c。2学期になって本格的にp4cを始めた3年生ですが、回を重ねるにつれ、どんどん慣れていって、急成長しています。
この時間は学級活動で、テーマは「挨拶」。
どんな対話になったのかな。では見ていきましょう。
なお、この時間、子どもたちは「WRAITEC(ライテック)」と呼ばれる思考のツール(「どうしてそう思うの?」「それって本当?」「例えば?」などの発言例)を時に駆使しながら自分たちで対話を深めようとしていました。
「もし、挨拶しても無視されたらどうしたらいいかって思うの」
「無視されたら、嫌だよねえ」
「うん。挨拶したくなくなっちゃう」
「そういうことってよくあるの?」(WRAITECの一つ)
「そういうことがよくあるなら、誰も挨拶したくなくなっちゃうよねえ」(WRAITECの一つ)
子どもたちは早速WRAITECを使って対話を深めようとしています。素晴らしい!
「そんなときは、挨拶を返してくれるまであいさつし続ける」
「ねえ、そもそもどうして挨拶するの?」
おおー!これはそもそもを尋ねる発言。謂わばクリティカル・シンキング(批判的思考)ですね。恐るべし3年生!
「私ね、前に挨拶を返してもらえなかったことがあって、とっても悔しかったの。挨拶って返した方がいいと思うよ」
「挨拶を返してくれないのは、もしかして聞こえなかったかもしれないよ」
ここで教師が介入。
「ねえ。挨拶を返せなかったことがある人は、どれくらいいるの?ちょっと手を挙げてみて」
すると半数くらいの子が挙手しました。
さらに教師が問います。
「挨拶を返せなかったのはどうしてなの?」
「私はどう返したらいいか分からなかったんです」複数の子が同様の意見でした。
「私は挨拶だけじゃなくて、大勢の人の前で話すのがそもそも苦手なんです」
「そう。恥ずかしい」こちらも複数の子が同様の発言をしました。
「ぼくは自分から挨拶するのはいいけれど、挨拶されてそれを返すのが恥ずかしいんだ」児童心理って複雑ですねえ。
「挨拶を返すにも、心の準備が必要なんだよ」ああ、なるほどね。
「ぼくも一人二人ならいいけれど、大勢の前で話すのは苦手だなあ」
「あと、知らない人に挨拶するのも恥ずかしい」
「そんなときは、自分一人でやろうとするのじゃなくて、友だちと一緒に挨拶すればいいんじゃない?」
おおー!協働作業としての挨拶ですね。
「恥ずかしいって気持ちをなくすにはどうしたらいいんだろう。みんなどう思う?」
「普段から友だちと仲よくしていればいいんじゃない?仲のいい友だちには恥ずかしいって思わない」
「挨拶するぞっていう気持ちを強く持てばいい」
「挨拶する相手を、自分の好きな食べ物だって思いこめばいい。お菓子とかさ」
「明るい気持ちでやればいいんだよ」
「最初は恥ずかしいって思ってても、1回挨拶すれば、勇気が出て何回もできるようになるよ」
「人の顔を見てあいさつするのが大事だよ」
「もし、相手の目を見てあいさつするのが苦手な人はどうすればいいの?」
「お辞儀だけでもいいんじゃない?」
「でもさ、お辞儀だけだと相手を無視したことにならない?」
「相手の顔を見てお辞儀すれば、無視したことにはならないと思うよ」
「そう。顔を見ないでお辞儀はダメ」
「でもさ、相手の顔を見るのが苦手な人なんだから仕方ないよ」
「無視するって、どこからどこまでが無視するってことなの?」
おお!この発言は、様々なパターンを踏まえての帰納法的な考え方と言ってもいいのかもしれませんね。素晴らしい!
「無視してるかどうかは、相手が無視されていないって感じれば、それでいいんだと思う」
「相手次第ってこと?」
「そう」
「相手を見るだとか、大きな声であいさつするとか、やった方がいいことはいいんだけど、でも苦手なら仕方ないじゃない」
「うん。相手を見て、ニコッとすれば気持ちは伝わると思う」
「う~ん・・・。お辞儀もいいと思うんだけど、なんかなあ・・・」
「お辞儀だけだと、やっぱり気持ちは伝わらないと思う」
「そう。お辞儀だけだと、挨拶にならないよ」
「そうだねえ。でも挨拶の仕方って、人それぞれでいいのかなあ」
子どもたちは、挨拶が苦手な人にもしっかり寄り添おうとしているのですね。
教師がこの対話を引き取ります。
「挨拶ってさ、結局何が大事なの?」
「明るい気持ち」
「笑顔だよ、笑顔」
「明るく元気な挨拶」
今まで、大人が子どもたちに話してきた望ましい挨拶の定型が子どもたちから出されました。
「えーっと、うまくできない人もいるけれど、まずは挨拶をしようって気持ちが大事だと思う」
「例えば、どういうこと?」
「挨拶しようって気持ちがあれば、自分から挨拶できるんじゃないってこと」
「気持ちがあれば、大きな声は出せなくても、何かできるんだと思う」
対話は「挨拶は相手に気持ちを伝えることが大事」という方向に進んでいきましたね。
教師が子どもたちにこの対話の感想を紹介するよう促します。
「私は、これから挨拶をしようと思う」
「挨拶は気持ちから始まるんだなって思いました」
「次からはもっと大きな声であいさつしようって思います」
3年生の中には、「WRAITECを活用するといいんだ」という意識が芽生えてきた子が何人もいて、子どもの発言によって、対話が回されていく姿に感動しました。
まさに子どもが主体となった対話、p4cでした。
なんと、たっぷり1時間の対話!
子どもたちのオーナーシップが発揮されたp4cだったといっても過言ではありません。
お見事!