学校ブログ
9月12日【6年学級活動p4c】卵が先か、ニワトリが先か?
6年生はノンジャンルでp4c。子どもたちが設定した問いは「卵が先か、ニワトリが先か?」です。
おおー!世界中の大人が頭を悩まず、大問題に6年生が挑みます。
「卵が先か、鶏が先か」問題の概要について確認した後、p4cの開幕です!
「えーっと、卵はたんぱく質が多く含まれていて・・・、で、鶏の体にもたんぱく質が多くて・・・、う~ん、大体そんなところです」
「生き物の進化って突然変異が重なってどんどん変わっていったんでしょう。だから、ある生き物が鶏になって、それ鶏が卵を産んだんだから、鶏が先」
おおーっと!これで世界の論争に終止符が打たれるのでしょうか!?
「生物は海の生き物が進化したものだから、生き物の大もとは海の生き物。一番の大もとは卵じゃない」
私がもうこの段階で発言。だっていい考えを思いついちゃったんだもの。言わずにいられません。
「私ね、動物園の猿の前でずーっと見ていたんだけれど、猿は人間に進化しませんでした。生き物が生きているうちに変わるってことはない。卵が産まれて、孵った生き物が突然変異だったりすることで、進化するんだと思う。だから卵が先」
現段階の考えで手を挙げてもらうと、「卵が先」18、「鶏が先」3という結果に。
「私は『卵が先』派なんだけど、校長先生の意見に賛成です」
「私は『鶏が先』派。猿から進化していった生き物と鶏も同じだと思う」
「ぼくは、やっぱりたんぱく質が関係してると思うんだけど・・・。う~ん」
タンパク質について、このお子さんは語るのですが、スッキリ整理した形で言語化するのが難しいようです。
しかし、たとえぼんやりした考えであってもみんなに聞いてもらいたい、発言したいと思うお子さんの姿勢と、このお子さんの発言を聞き洩らさずに聞こうとする周囲の子の姿勢!
セーフティ溢れる素晴らしい空間です!
「目が見えなくなった人は、やがてそれを補うように耳がよく聞こえるようになるって話を聞いたことがある。生きている途中で生き物は変わることってあると思う」
「でも、遺伝子って変わらないし、遺伝子でその生き物って形とか決まるんじゃないの?」
「別々の種類の生き物が交配して、その時代に合うような子どもができるのかも。ハイブリッド卵みたいなの」
ここで私は反省しつつ、先程の自分の発言を取り消します。だってもっと素敵な考えが思いついちゃったんだもの。
「私さっき随分夢のないこと言っちゃった。生き物って生きているうちは変わらなくて次の世代になって漸く変われるって言ったんだけど、みんなの話を聞いていて生きているうちに感覚が鋭くなることもあるなあって思いました。私たちが大谷選手みたいになりたいって努力しても無駄だなんて考えたくないもんね。だから、努力すれば変われるっていう、『鶏が先』派に転向します!」
「鶏は飛べませんよね。最初は飛べたかもしれないけれど、だんだん飛べなくなっちゃった。でも、その分、すばしっこく動けるようになれた。卵だってたくさん産めるようになった。できないことがあったとしても、別のことがずば抜けてうまくできるようになる」
「ねえ、鶏って、人間が家畜として改良した動物でしょう。だから、卵もたくさん産めるし、肉もよりおいしくなった」
「なんで同じ鳥なのに、そんなに違いがあるんだろう?」
「そうだね。例えばダチョウって、ほかの鳥に比べて大きいし、首も長い。で、めっちゃ走ってる。そういうよさが環境に適応してていいのであれば、同じような子どもが卵として生まれる」
「鳥は鳥でも、種類が違うんじゃない?」
「牛や馬は卵じゃなくて、親の形で生まれてくる。なんで?」
「生物は環境によって変わってくるし、進化していく。馬なんて生まれて数時間後にはもう走れるみたいだよ」
「必要だから発達するんだね」
いつしか対話は子どもたちなりの進化論に発展していきました。
そして、あるお子さんがまとめの総括討論!
「〇〇さんが言ったように、生き物も私たちも、みんながみんな同じなわけじゃない!」
「そうだよ。種類が違うし、個体差もある。私たち一人一人が違うように」
突然変異で進化し始めた生き物も、同じ種内でも変異せず進化していない生き物もいる。人間も同じで、それぞれの多様性は尊重されるべきであるというようなところに対話は着地したのかしら。はい、着地したとしましょう。
それにしても想像だにしなかったところに到達しましたね。
おもしろいなあ、子どもたち。おもしろいなあ、p4c。
私も子どもたちに交じって対話したp4c。
私は世界の大問題に今更挑むなんてと思いましたが、よく考えてみると、この問題にじっくり取り組んでみることはなかったことに気付きました。
私も対話の中で子どもたちの発言に揺さぶられ、考えを変える場面もあるほど、子どもたちの発言は力のあるものになっていたことにも気づきました。
すごいなあ、君たち。
週1でp4cに取り組んでいる6年生。p4c名人への道まっしぐらです。